昨日と今日
昨日、実作講座があり、祐二さんが「戦争をテーマにした詩」ということで講義をしてくれました。戦争ということも決して避けて通れないテーマ、さまざまな詩を紹介していただき、いろいろと考えさせられました。戦争についても、ですが、また、戦争の詩、ということについてもです。で、講義のあとも、みんなで盛り上がり、とてもいい回になったと思います。祐二さん、仕事でお忙しいのに本当にありがとうございました。
・・・戦争の詩というと、私の中ではまず与謝野晶子の「君死にたまふことなかれ」そして、プレヴェールの「バルバラ」、それからアルチュール・ランボーの有名な詩「谷間に眠る者」など。
ちょっとよそからコピーしてきたものをはりつけますね。いろいろな人が訳をしておられますが、下は中原中也の訳です。
これは緑の窪、其処に小川は
銀のつづれを小草(おぐさ)にひっかけ、
其処に陽は、矜(ほこ)りかな山の上から
顔を出す、泡立つ光の小さな谷間。
若い兵卒、口を開(あ)き、頭は露(む)き出し
頸は露けき草に埋まり、
眠ってる、草ン中に倒れているんだ雲(そら)の下(もと)、
蒼ざめて。陽光(ひかり)はそそぐ緑の寝床に。
両足を、水仙菖(すいせんあやめ)に突っ込んで、眠ってる、微笑んで、
病児の如く微笑んで、夢に入ってる。
自然よ、彼をあっためろ、彼は寒い!
いかな香気も彼の鼻腔にひびきなく、
陽光(ひかり)の中にて彼眠る、片手を静かな胸に置き、
見れば二つの血の孔(あな)が、右脇腹に開(あ)いている。
そして、下は壺齋散人という方のブログから引用させていただきました。
ここは小川がせせらぐ緑の窪地
草は銀の切れ端のようになびき
太陽は山の頂から光を注ぐ
ここは光あふれる小さな谷間
若い兵士が眠っている
口をあけ帽子も被らず首をクレソンに埋めて
大空の下 草の上にのびのびと横たわる
青ざめた唇には光が雨となって降り注ぐ
足をグラジオラスの茂みに埋め
子どものような笑みを浮かべて若者は眠る
自然よ この冷たくなった若者を暖めておくれ
どんな香りももう若者の鼻にただようことはない
若者は陽光の中で静かに眠る
手を胸に 脇腹には二つの赤い穴を抱えて
そして、原詩です。
Le dormeur du val
Arthur RIMBAUD (1854-1891)
Accrochant follement aux herbes des haillons
D'argent ; où le soleil, de la montagne fière,
Luit : c'est un petit val qui mousse de rayons.
Un soldat jeune, bouche ouverte, tête nue,
Et la nuque baignant dans le frais cresson bleu,
Dort ; il est étendu dans l'herbe, sous la nue,
Pâle dans son lit vert où la lumière pleut.
Les pieds dans les glaïeuls, il dort. Souriant comme
Sourirait un enfant malade, il fait un somme :
Nature, berce-le chaudement : il a froid.
Les parfums ne font pas frissonner sa narine ;
Il dort dans le soleil, la main sur sa poitrine,
Tranquille. Il a deux trous rouges au côté droit.
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